2010年9月29日水曜日

心のよりどころ、心の余裕

シェルターでかれこれ7年以上のおつきあいになるおばあちゃん。彼女、シェルターに365日やって来ます。すごいでしょ。いやぁ、敬意表彰ものであることは確かです。でも、「すごすぎ...。大丈夫?」とも思います。

今年83歳。スラッと背が高く、ちょっとナンシー・レーガン似。ご主人と、シェルターから引き取った老犬と、鳥、猫と暮らしています。7-8年前に知人に薦められボランティアを始めた彼女、最初は猫のえさやりなどのみで、肉体労働的なことには関わっていませんでした。ある時から、犬のお世話にどんどん興味が湧き、今ではピットブル、ハスキー、ロットワイラー、シェパードなどの大型犬のお散歩に忙しい、忙しい。すごいもんです。

しかし困ったことに、彼女はいつの間にか「シェルター命!」人間になってしまったんです。ほんと彼女、シェルターのこと、犬達のこと24時間考えています。冗談じゃなく。もちろん犬達にとってはありがたいこと!家族なし、家なしの犬たちにとって、そう思ってくれる人が一人でも多くいることが「望み」につながるわけで、犬の中で「うっ」とけむたがってる子は誰も居ないと思います。しかし、このおばあちゃんの「シェルター命!」魂は周りの人間にはかなりの影響を及ぼしているのです。

誰かがちょっとシェルターに姿をみせなくなったりしたら、すぐに電話。みんなのスケジュールも把握してるから、来るはずの日に来なかったりしたらイライラ。要員が少なくなると分かると、懇願メールばしばし入ります。「今週末はお友達のコンサートがあったりで来れないから」とか「来週DCに行く」とか言った時には、もう一瞬で顔が曇り、「犬のことや、シェルターのことはもうどうでもいいのね...。」とつぶやかれます。こわい...。

とにかくシェルター犬!話題はシェルターの犬のことばかり。せっかく美容院で綺麗にセットしてきたから「あ、今日髪きれい!」って云っても聞いてない。「あの犬がどうした、こうした」ってなっちゃう...。

彼女とは色々話をするのですが、討論になることも多々。何度かやりました。

「みんな犬のことなんか忘れて楽しい計画一杯立ててシェルターから遠ざかる...。結局犬のことを考えてるのはわたしだけ...」と。

そんな時は言い返します。

「犬たちを思う気持ちはみんな同じ。同じように犬のことを愛し、考えてる。でも、みんなそれぞれ生活があるんだよ。仕事もあって、家族もあって、でもその中で時間を必死で作って来るんだよ。それに、みんな一生懸命、精神的にバランス取らなくちゃって頑張ってると思う。少なくともわたしはそう。大好きな犬たちのことだけに、考え始めたら24時間考えてしまうし、簡単にのめり込んでしまう。でも、そうなると駄目だと思う。どこかでちゃんと精神的にバランス取ってないと、せっかくの価値あることが色んな面で裏目に出て台無しになってしまうと思う」と。

実はおばあちゃんも犬のことで頭がぱんぱん、ストレスで不眠症。睡眠薬飲んでます。自分でも良く分かってるのです。なんとかしなくっちゃって。

こういうお話は、おばあちゃんだけに限りませんよね。良く耳にするし、わたし自身だって“Been There、Done That”って経験ありありです。特にすぐ熱して必死になる性格だけに...。親が子供に150%になってしまっていたり、好きな人にのめり込んで日夜その人とのことしか考えられない、一生懸命になりすぎる...。また趣味や仕事が「命」になってしまって、気がつけば他は全て放ったらかし...。

「心のよりどころ」があると言うのは素晴らしいことだと思います。でも、その「心のよりどころ」との関係作りが実はとても重要なのではないかと思うのです。バランスって簡単な言葉そうだけど、すごく大事ですよね。どんなことにも。この「心のよりどころ」との関係作りにもバランスが鍵のような気がします。

一つの「心のよりどころ」にのめり込んではいけない。「心のよりどころ」はいくつか持って、それをバランスよくジャグルする。そうすることにより、自分の中に「心の余裕」が生まれるし、「心のよりどころ」になってる対象とも「余裕」「スペース」が出来るのではないでしょうか。

ぎしぎしに一杯じゃなくって、空気が流れる隙間をつくる...。わたし自身も心がけておきたいことです。

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